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脊柱管狭窄症

 名古屋市北区の骨盤調整・整体院 ふるさわ指圧治療院です。

 脊柱管狭窄症と診断されたとき、誰しも出来ることなら手術をしないでなんとかしたいと思うでしょう。当然手術に踏み切るしかないケースもありますが、その前にできる事はあります。脊柱管狭窄症の仕組みを理解した上で、保存療法でできる事とできない事を理解することは大切なことです。ここでは脊柱管狭窄症の特徴や治療方針などを解説いたします。

目次

脊柱管狭窄症の特徴

脊柱管狭窄症とは?

 脊柱管狭窄症とは、何らかの理由で脊柱管や椎間孔が狭くなり、馬尾神経や神経根を圧迫して、腰痛や下肢痛(坐骨神経痛)を伴う疾患です。

脊柱管狭窄症による馬尾神経圧迫

 脊柱管とは、椎体や椎間板の後方に位置し、脊髄や馬尾神経が通る垂直方向のトンネルのことです。椎間孔とは、神経が脊髄から外に分岐する際に通る両側面の穴のことです。

  • 中高年に多く発症します。
  • 発症部位としては、第4、5腰椎に好発します。

脊柱管狭窄症の原因

 脊柱管狭窄症の原因は、馬尾神経の通り道である脊柱管や神経根の通り道である椎間孔が狭くなって、神経を圧迫することにあります。

 脊柱管や椎間孔が狭くなる原因としては、下記のものが挙げられます。

  • 加齢による骨棘
  • 黄色靭帯や後縦靭帯の肥厚
  • 椎間関節の肥厚
  • 椎間板の膨隆
脊柱管狭窄症による神経根の圧迫

変性脊椎すべり症

変性脊椎すべり症による馬尾神経圧迫

 変性脊椎すべり症は、脊柱管狭窄症の代表的な原因であり、閉経後の女性や高齢者に多い疾患です。変性脊椎すべり症は、椎間板や椎間関節の変性により、背骨が前方にすべってしまう疾患で、馬尾神経を障害しやすいです。

変形性脊椎症

変形性脊椎症による馬尾神経圧迫

 変形性脊椎症も原因のひとつであり、椎間板が変性して潰れ、椎体周囲に骨棘が形成され、馬尾神経や神経根を圧迫します。骨棘の形成は、椎間板が潰れて背骨が不安定になってしまったのを補う防御反応であり、椎体の上下面面積を拡大することで安定させています。

脊柱管狭窄症の症状

 脊柱管狭窄症は、神経の圧迫部位によって神経根型馬尾型に分類されます。それぞれの症状の現れ方には違いがあり、基本的には神経根型は片側に、馬尾型は両側に症状が現れるのが特徴です。多くは立っているときや、歩いているときに症状が現れます。また前屈で症状が緩和され、後側屈動作で悪化します。

馬尾神経圧迫と神経根圧迫

【神経根型】神経根を圧迫した場合
片側の下肢や臀部の痛み、しびれ、腰痛、筋力低下。痛みとしびれが両方ある。片側性が多いが、両側性の場合もある。腰痛を伴わないこともある。馬尾型に比べて痛みは強いが、回復しやすい。

【馬尾型】馬尾神経を圧迫した場合
両側の下肢・臀部・会陰部の異常感覚(脱力感、しびれ、灼熱感、ほてり)筋力低下。しびれはあるが、痛みはない。尿漏れ、頻尿、残尿感、勃起障害。 

もし症状が進行し、馬尾神経を圧迫することで尿が出にくくなってしまった場合は緊急を要する事態ですので、そのときは早急に外科手術を検討しなければなりません。

末梢動脈疾患との見極め

 末梢動脈疾患は、動脈硬化の進行により足の血管が狭くなり、足への血流が減少することで足のしびれを発症する疾患です。足へ酸素や栄養がいきわたらず、潰瘍ができて壊死に至るケースもあります。またその他の部分でも動脈硬化が進行していることが多く、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクもあるため、早めに医療機関で受診しましょう。

末梢動脈疾患

 脊柱管狭窄症を発症すると特徴的な 間欠性跛行 となり、長時間の歩行で症状が悪化します。間欠性跛行とは、しばらく歩いているうちに足に痛みやしびれを感じて歩けなくなるが、少し休むと再び歩けるようになることを言います。

 脊柱管狭窄症の人は、前かがみで休憩するとすぐに症状が楽になり、再び歩けるようになります。また脊柱管狭窄症の人は、歩行が困難の方でも、自転車は問題なく乗れることが多いです。それは自転車に乗る時の姿勢がやや前かがみになることで、脊柱管の後壁にあたる黄色靭帯が伸ばされて、神経の後方からの圧迫が緩和されるためです。

 同様に間欠性跛行がみられる疾患として、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)があります。前かがみにならなくても、休憩すると10分程度で徐々に症状が楽になる場合は、末梢動脈疾患の疑いがあるので鑑別が必要です。

脊柱管狭窄症 ➡ 前かがみで休憩すると症状が楽になり、再び歩ける。

末梢動脈疾患 ➡ (前かがみでなくても)休憩すると症状が楽になり、再び歩ける。

脊柱管狭窄症の進行過程

① 正常な腰椎

正常な腰椎断面図

 背骨は椎体と椎間板といわれるクッションが交互に積み重なって構成されています。そしてこれらは、複数の靭帯と後方に位置する左右一対の椎間関節によって連結されています。椎体の前方には前縦靭帯、後方には後縦靭帯、そして上下の椎弓をつなぐ黄色靭帯などがあります。脊柱管の前壁となるのが後縦靭帯で、後壁となるのが黄色靭帯です。これらの靭帯や椎間関節が支持しているおかげで背骨が安定して積み上がっています。また背骨の可動域をほどよく制限することで、脊髄や馬尾神経を保護しています。

➁ 椎間板が潰れて靭帯が緩み不安定化

椎間板が潰れて不安定化した腰椎

 歳を重ねると、保水性のあるプロテオグリカンが減少して、水分量が減少することで椎間板が押し潰されて、厚さがだんだんと薄くなり外側に膨らんでしまいます。そうするとピーンと張っていた前縦靭帯や後縦靭帯、黄色靭帯がだんだんと緩んでたわんできます。例えるならば、今までちょうど良いサイズだった運動靴が痩せてしまったことでブカブカになってしまったようなものです。運動靴でしたら靴ヒモを締め直せば再びピッタリとフィットしますが、靭帯は締め直すことができません。

③ 靭帯が膨隆して再安定化

 靭帯がたわむと椎体の支持性が不安定となり、グラグラと動きやすくなります。背骨には脊柱管を上下に走る脊髄を守る役目もあり、背骨がグラグラと不安定に動いてしまうのは、人間の体にとっては問題です。人間の体にとって良くないことが発生すると、なんとかそれを補うような変化が起こります。

脊柱管狭窄症による馬尾神経圧迫

 椎体に骨棘ができるのは、潰れて外側に膨らんだ椎間板に合わせて椎体の上下面の面積を増やすことで、なんとか安定性を確保しようとするためです。また後縦靭帯や黄色靭帯が肥厚するのも同様で、肥厚することで背骨の安定性を確保しようとするためです。

 また椎間板が薄くなると、今まで正常にかみ合っていた椎間関節のかみ合いが狂ってしまい、ガタが発生してしまいます。このガタを補うために椎間関節も肥厚してガタを少なくしようとします。こうして体に起きた緊急事態を回避しようとして、靭帯や椎体、椎間関節が膨らむことで背骨の不安定性が徐々に解消して、再び安定性を確保していきます。しかし安定したからといって決して良くなったわけではなく、これらの変化が脊柱管狭窄症を誘発し、脊髄や神経根を圧迫してしまうことで新たな問題を生み出しているのです。

脊柱管狭窄症の治療方針

脊柱管狭窄症の原因と手技による改善効果

 脊柱管狭窄症は、椎間板が潰れてしまうことから始まります。椎間板は一旦潰れてしまうと、再び元の厚みに戻すことは出来ません。従いまして保存療法では、この条件下での最善を尽くすことになります。

 脊柱管狭窄症の原因のうち、手技療法によって影響を及ぼすことが出来るものは限られており、不可逆的変化が起こっているものに関しては残念ながら改善は見込めません。不可逆的変化とは、一旦変化してしまったら元に戻すことが出来ないという意味です。上表において骨や椎間板の変化に関しては不可逆的変化を起こしていますので、手技療法によって今後の進行を遅らせることは出来ても、現状より改善することは出来ません。

 よって治療方針といたしましては、手技療法によって影響を及ぼすことが出来る部分に活路を見出すしかありません。手技によって改善が見込めるものとしては、脊柱の歪みと後縦靭帯、黄色靭帯の緊張です。脊柱の歪みは骨盤調整等による手技によって十分に改善が見込め、それによって上下に隣接する椎骨(背骨)同士の並びが整えば、神経の通り道に余裕が生まれ、神経の圧迫が緩和されます。

湾曲した脊柱と真っ直ぐな脊柱の神経圧迫の差

 靭帯に関しては、一旦膨隆したものが元に戻るのは難しいと考えますが、緊張を緩和させるのは可能であると考えます。脊柱が歪んでいると、それ以上歪まないように後縦靭帯や黄色靭帯を固めて守る必要がありますが、脊柱の歪みが改善されれば靭帯を固める必要性が減りますので、その分の靭帯の緊張緩和につながります。靭帯に柔軟性が戻れば、神経の圧迫は緩和されます。

湾曲した脊柱と真っ直ぐな脊柱の靭帯の固さの違い

 歳を重ねるごとに椎間板が薄くなるのは避けられません。しかしながらその進行を少しでも遅らせる努力はするべきだと考えます。仙腸関節がズレて背骨が歪めば、椎間板に偏荷重がかかるようになり、ダメージを受けやすくなります。

 仙腸関節のズレを整え、背骨の歪みが減少することで、椎間板にかかる荷重の偏りが減少すれば、椎間板の負担が軽減し摩耗スピードを遅くすることができます。また体重の軽い人より重い人の方が、椎間板にかかる負担が大きくなってしまいます。無理なダイエットは禁物ですが、無理のない範囲で減量することも必要です。

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