名古屋市北区の骨盤調整・整体院 ふるさわ指圧治療院です。
五十肩を一度経験した人は、二度とあんな痛い思いをしたくないと口を揃えて言います。それほどの辛い症状を伴う五十肩ですから、出来る限り軽い症状に抑えて乗り切りたいものです。ここではまず初めに五十肩の特徴を解説いたします。次に自分でできる五十肩の運動療法をご紹介していますので、参考にしていただきたいと思います。
五十肩の特徴
五十肩とは?
五十肩とは、その名の通り40~50代以降で明らかな原因がなく、肩の疼痛と関節可動域制限を伴う疾患です。凍結肩( frozen shoulder )とも言われます。症状の強い肩こりと誤認識されることもありますが、肩こりとは別物です。五十肩は、本来肩関節周囲炎の中の一つですが、発生頻度の多さから、「五十肩=肩関節周囲炎」として同義語で使用されることもあります。レントゲンで異常はありません。五十肩では、腱や滑液包、骨などに損傷ありませんが、関節包が正常時と比べて縮まって小さくなります。関節包とは、関節を覆っているジャバラ・カバーのような物で、内部は関節液で満たされています。
- 五十肩
- 腱板炎
- 上腕二頭筋長頭腱炎
- 石灰性腱炎(石灰沈着性腱板炎)
- 肩峰下滑液包炎
- 現在では、腱板断裂や石灰性腱炎は五十肩に含まれません。
- 腱板断裂とは、腱板が断裂して激しい疼痛を伴う疾患です。(後述)
- 石灰性腱炎とは、腱板にカルシウムが沈着して炎症を起こし、激しい疼痛を伴う疾患です。レントゲンでカルシウム沈着部分が白く映し出されます。
五十肩の原因
五十肩の原因は、肩関節の退行変性によるとされています。退行変性とは、簡単に言うと老化現象のことです。
五十肩の症状
五十肩になると、ある日突然に痛み出します。動作時だけでなく安静時、就寝時にも痛みがあり、あまりの痛さのため眠れなくなります。 肩の可動域が狭くなり、腕を上げたり、肩を外に開いたり(漫才師がつっこむときの動き)、結髪・結帯動作が困難になります。結髪動作とは、女性が髪を後ろで束ねるときにする動作です。結帯動作とは、帯を後ろで結ぶ動作です。
五十肩になると、あまりの痛みのため肩をかばうようになります。そうすると肩周辺の運動量が減少し、肩関節だけでなく肩甲骨周辺や背中、肩上部までガチガチに固まってしまいます。徐々にその影響は広範囲となり、骨盤の仙腸関節の癒着を招きます。このように肩だけに限らず、体の一部が動かなくなると、その影響は全身に及んでしまいます。例えば手首を骨折してしまい、ギプスで固定をした時でも同様のことが起こります。五十肩は部分的な肩だけの問題ではないのです。
五十肩だからといって肩だけに集中するのではなく、骨盤調整により仙腸関節のズレを整えることが重要です。
五十肩の回復過程
五十肩の回復過程としては、下記の3つの期に分類されます。
- 急性期(炎症期)
- 慢性期(拘縮期)
- 回復期
五十肩は回復までに約1年を要します。焦らずじっくりと治しましょう。
炎症が起こっている状態で、疼痛が最も強い時期です。運動時痛・安静時痛・夜間痛があります。寝返りで患側が下になったときに、疼痛のあまり起きてしまいます。この時期は安静にするのが基本ですが、安静にし過ぎるとさらに固めてしまいますので、疼痛のない範囲で運動療法を行います。炎症が起きているからといって、患部を冷やしてはいけません。逆効果となり、炎症が悪化します。五十肩では炎症が起こっているうちは、患部はあまり触れませんが、患部周辺の出来る範囲の治療を行います。部分的な治療に留まらず、骨盤調整・指圧・骨格調整にて全身の治療を行います。
炎症が引き、五十肩の疼痛は軽快し始めます。夜間に痛みで起きることが無くなります。症状としては関節拘縮が主であり、肩関節の可動域制限がみられます。痛みが引いてきたら、積極的な運動療法を行い、可動域を徐々に広げていきます。強い痛みを我慢してまで行うのではなく、軽い痛みが起こるぐらいの可動範囲に留めましょう。その他この時期では、ホットパックやカイロなどで患部を温めるのも有効です。湯船につかって温めると、症状が緩和します。治療としては指圧により関節拘縮の緩和を図り、同様に骨盤調整をはじめ全身の治療を行います。
五十肩の疼痛がさらに軽くなり、肩の可動域が徐々に戻ってきます。施術は慢性期と同様に行います。運動療法は積極的に行いましょう。
腱板断裂との見極め
腱板断裂とは、腱板がスポーツ、外傷、加齢などが原因で断裂してしまうもので、五十肩と似たような痛みがあります。棘上筋腱は、回旋筋腱板(ローテータカフ)のひとつであり、腕を上げる際に肩峰と接触して損傷しやすいです。回旋筋腱板とは、肩関節の周囲の筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)の腱の総称であり、肩関節を安定させる働きがあります。
五十肩との違いとしては、腱板断裂では自力で腕を横から持ち上げる動作が困難になるものの、関節可動域はそれほど減少しないため、他力の補助があればなんとか上まで上げることができます。
ドロップアームテスト
ドロップアームテストとは、棘上筋が断裂しているかどうかをみるテストです。棘上筋は腕を横から上げるときに働く筋肉です。この筋肉が断裂すると、自力で腕を上げることが困難になります。
- 腕を支えてもらって、水平まで上げます。
- 腕の支えを外して、ゆっくりと自分の力のみで腕を下げます。
腕をキープすることができず、急に腕が下がってしまった場合は、腱板断裂の疑いがあります。一度医療機関で検査を受けることをお勧めします。
五十肩の運動療法
ここでは自分でできる五十肩の運動療法を6種類ご紹介いたします。
コッドマン体操
- ペットボトル500mlに水を入れたものを手に持ち、前傾姿勢になります。不安定な場合は、反対の手はテーブルなどに付いて支えて下さい。(重さは症状に合わせて適宜調節して下さい。)
- 振り子のように前後に振ります。
- 左右にも同様に振ります。
- 回転運動をします。(左回し、右回し)
力を抜いて行うことがポイントです。
壁伝い運動
- 壁向かって少し離れて正面向きに立ちます。
- ひと差し指と中指を使って壁に沿ってテクテクと上に登らせていきます。徐々に上に距離を伸ばしていきましょう。
- さらに横向きでも同様に行いましょう。
ゴム運動
- ゴムの端を柱などにくくりつけ、もう一方の端を握ります。
- 肩を軸にして腕をグルグルと回します。肩関節が少し引き離されるぐらいのテンションをかけて左右回します。
- 直線的に動かしたり、体勢を変えてみたり、角度を変えてみたり、いろんな刺激が肩にかかるよう工夫してみてください。
肩の外旋運動
- 正座をして、肘を太ももの上に乗せます。
- 反対側の手を肩に添えます。
- 肘を支点として、前腕をゆっくりと外に開きます。
反対の手で肩を抑えると安定します。
肩の伸展運動
- 横向きに寝ます。
- お尻に手を添えます。
- 反対側の手を肩に添えます。
- お尻から腰にかけて、ゆっくりスライドさせます。
楽に動かせるようになってきたら、徐々に手の軌道を背中の中心側に持っていき、負荷を上げていきましょう。
雑巾がけ運動
- 正座をして、肩に手を添えます。
- 反対側の肘を太もも間の谷に入れます。
- 雑巾がけをするように、床に沿って弧を描くようにゆっくりとスライドします。
- 徐々に円を大きくします。
反対の手で肩を抑えると安定します。